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ゴン川野 Selection

幅134.4×高さ91.1×奥行き157.2mm、約955g(撮影重量)。有効画素数=810万画素。光学ズーム=7倍。デジタルズーム=2倍。レンズ(35mm換算)=28〜200mm。レンズF値=F2.0〜2.8。記録メディア=メモリーステック、CFカード(マイクロドライブ対応)。液晶サイズ=1.8型。電源=インフォリチウム M
http://www.sony.jp

第3回(完結編) スポーツ撮影で本領発揮の200mm/F2.8 03.24 UP
第2回 赤の発色にこだわったソニー 03.08 UP
第1回 F828のルーツを掘り下げる 02.24 UP


 


[ツァイスの色を生かす設計]

私の記憶が確かなら、ツァイスレンズはこってりとした色の乗りが特徴的で、特にコダクロームで撮影してスライドを投影してみると、感動的に美しい発色だった。やはりツァイスにはコダクロームがよく似合う。エクタクロームではダメなのだ。あの鮮やかでいて深みのある色合いは他のフィルムでは得難いものだった。なぜならこのリバーサルフィルムのみが外式と呼ばれる……。 いやいやこれではまた話が横道にそれてしまう。しかし、F-828の感度モードにISO64があるというのは設計者がコダクロームのことを意識したからではないかと思うのだ。普通のデジカメなら感度は50、100、200、400、800と2倍になっている。しかし、あえて古き良き時代のコダックのリバーサルフィルムが使っていたISO64をデジカメの感度に採用したのはコダクロームに対するリスペクトの表れなのだろうか、may be !

話を戻すと、ツァイスレンズの味を生かすためにソニーが行ったのは、まず、4色カラーフィルターの採用である。デジカメにおいてフィルムの役割を果たしているCCDは、色を認識するために補色フィルターか原色フィルターのどちらかを使っている。補色フィルターはCMYGの4色で、原色フィルターはRGBの3色から形成されている。一般的に補色フィルターは感度が高いので暗いシーンに強く、原色フィルターは発色が良い。現在、ほとんどのデジカメが発色重視の原色フィルターを使っている。富士フイルムだけはちょっと独自方式なのだが、それはおいといて、とにかく原色フィルターは3色の画像を組み合わせてカラー画像を作っている。では、ソニーの4色フィルターとは何か。それは、赤(R)、緑(G)、青(B)、にエメラルド(E)を加えたのだ。Eを加えることで人間の目が赤い色に対して感度不足な部分を補って、より自然な色再現を目指しているという。つまり、一言でいえば赤の発色が良くなったということだろうか。これとは別の機能としてさらに2つの色再現モードを用意している。

●リアルモード/撮影者の目に忠実な色再現。人の目との色差が少なく、実際の色に近い画像。
●スタンダードモード/撮影された画像を記憶色で色再現。鮮やかな色表現が可能。

これは私の推測なのだが、いままでのソニーのデジカメは、全てスタンダードモードで処理してきたのだが、今回はハイエンドデジカメ、しかも新設計のカール・ツァイスレンズということで気合いを入れてリアルモードを作ったのではないだろうか。これらの点に注目しつつ実写してみた。

[ツァアイスレンズ vs ニッコールレンズ]


Photo 01

Photo 02
早速、原宿に赴いて『F-828』とNikon『COOLPIX5000』での撮影を敢行した。さてどちらがツァイスで、どちらがニッコールかお分かりだろうか? 赤が鮮やかなのは(photo 02)だから、こっちがきっとツァイスだと思ったあなたはブー! 不正解。(photo 01)のちょっと黄色っぽい方がツァイスである。原宿で撮影していながら、ヨーロッパの街角を思わせる柔らかな光と陰、そしてしっとりして厚みのある油絵の具のような赤の発色。これがツァイスの味だ。っていうか色温度が低いだけという気もするのだが……。 だってこれを撮影したのはデータでは午後2時19分である。しかし(photo 01)は夕方のような光である。午後4時ぐらいかなあ。どちらも絞りはF8でシャッター速度は1/25秒。感度はニコンが100で、ソニーが64である。


Photo 03

Photo 04

Photo 05

Photo 06
それでは、今度は画像劣化が皆無のRAWデータで比較してみよう。いままで専用ソフトがないと開けないので、敬遠していたが『Photoshop CS』になってから、開けるようになったので、ちょっと使ったみた。さて今度はどちらツァイスだろう。(photo 04)が白っぽいからニッコールと思ったあなたは不正解。こちらがツァイスなのだ。そしてニッコールは(photo 03)だ。先ほどとは逆にみええるが、RAWデータのカメラ初期設定の色温度が、3050ケルビンなのだ(photo 05)。これに対してニッコールレンズの方は3500ケルビンだった。そこで、ツァイスを4500ケルビンに設定して、それ以外のパラメータもあれこれいじったのがこれだ(photo 06)。これが私の記憶の中のツァイスのイメージである。このようにRAWデータであれば、画質の劣化なしにさまざまな設定を変更することができる。まるで現像する前のフィルムのようなデータ形式なのだ。その替わり非圧縮なので、ファイルサイズが16.6MBにもなってしまう。これがJPEGであれば最高画質にしても3MBである。つまり5倍以上も違うのだ。さらにシャッターを押してからの書き込みにも時間がかかる。特に『COOLPIX5000』は砂時計が画面に出てきて回転して、回転して、さらに半回転しないと書き込めないので絶対に使わない。『F-828』の場合は、風景写真だったら使ってもいいかなぐらいの時間で、ポートレートでも、まったりした撮影ならOK。つまりRAWデータの書き込みはかなり早い。

[モードによる画質の変化]

ちなみに『F-828』は、RAWモードに加えて、非圧縮のTIFFでも撮影できる。ファイルサイズはさらに大きくなり、22.9MBである。この2つのモードはJPEGに比べて圧倒的に高画質、高解像度なのかと言えば、実はそうでもない。JPEGだって高画質、高解像度なのだ。実際にプロカメラマンだって、JPEGで撮影することが多いのだ。普段はJPEG、必要に応じてRAWで撮影している。つまり、我々は読み込み速度とか撮影枚数とかデータ管理のことを考えるとJPEGがベストであり、多くのデジカメはJPEGでしか画像データは保存できない。せっかくなので、リサイズなしでトリミングした画像をのせておこう。RAW、TIFF、JPEGの順である(photo 07、08、09)。これを見るとJPEGで俺は満足だよ〜と叫びたくなってしまうのだが、いかがだろうか?


Photo 07

Photo 08

Photo 09


Photo 10

Photo 11

Photo 12

Photo 13

Photo 14

Photo 15
次はファイルサイズを変えてみよう。『F-828』は800万画素以外に3:2、500万画素、300万画素、120万画素、30万画素、メール用(320×240ドット、今回は省略)のモードがある。ファイルサイズは作例の場合、3.25MB(photo 10)、2.71MB(photo 11)、2.09MB(photo 12)、1.45MB(photo 13)、580KB(photo 14)、140KB(photo 15)になった。リサイズしてしまえば、画質は全部同じに見える。ただし、30万画素はリサイズなしでそのままである。つまり何が言いたいのか。いままでは、最終的に小さいサイズの画像が欲しいときも、最高画質で撮影してあとから、リサイズしたほうがきれいである。これが常識だった。しかし、この作例を見ると30万画素モードで撮影しても抜群に美しい。それなら最初から欲しいサイズで撮影した方が、たくさん撮れるし、データも軽いし、リサイズの手間も省ける。私には800万画素は不要という理由で『F-828』を購入リストから外しているなら、『F-828』を選んで500万画素のモード専用機にするという贅沢な使い方をしてもいいのではないだろうか。これから発売される各社のハイエンドモデルは揃って2/3インチ、800万画素モデルになってしまったのだから。


Photo 16

Photo 17

Photo 18

Photo 19
最後に色再現モードを比較してみよう。これが予想外に微妙な違いなのだ。私の予想ではスタンダードモードはグッと派手な発色になると思ったのだが……。これがリアルモード(photo 16)、こっちがスタンダードモード(photo 17)である。微妙である。これぐらいなら画像加工ソフトで補正できるのでは、と思ってやってみたのだが微妙すぎてソックリには、ならなかった(腕が悪いとも言う)。他にもいろいろ撮影してみたのだが、そんなに変化はなかった。つまりどっちでもいいのではないだろうか。ツァアイスレンズなんだから、やっぱりリアルモードにするかみたいな、気分の問題で選んで構わないと思う。この2枚はリアルモードで撮ったのだが、十分に記憶色に見える(photo 18、19)。空は抜けるように青いし、大口径ズームレンズのボケはなかなかきれいである。なんか作例っぽい画像になってしまったが、『F-828』は、日常の何気ない風景も、ちょっと撮ってみようかと、その気にさせてくれるデジカメなのだ。

次回は、『F-828』を筑波サーキットに持ち込んで、100km以上で走っていくオートバイの撮影に挑んだ。果たしてAFはうまく働いてくれるのか。

 


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