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ゴン川野 Selection

幅134.4×高さ91.1×奥行き157.2mm、約955g(撮影重量)。有効画素数=810万画素。光学ズーム=7倍。デジタルズーム=2倍。レンズ(35mm換算)=28〜200mm。レンズF値=F2.0〜2.8。記録メディア=メモリーステック、CFカード(マイクロドライブ対応)。液晶サイズ=1.8型。電源=インフォリチウム M
http://www.sony.jp

第3回(完結編) スポーツ撮影で本領発揮の200mm/F2.8 03.24 UP
第2回 赤の発色にこだわったソニー 03.08 UP
第1回 F828のルーツを掘り下げる 02.24 UP


 


[不死身のツァイス]

ニコン、オリンパス、ミノルタとデジタルカメラの記事を書いてきたので、カンのいい読者諸君なら、ゴン川野はカメラメーカーのデジカメが好きに違いない。すると次はキヤノンかペンタックスだろうと予想しただろう。しかし、今回はソニーのサイバーショットである。ただし、ボディはソニーだが、レンズはカールツァイスの『Vario-Sonnar T* 7.1-51 F2-2.8』なのだ。だからどうしたと言われると困るので、先に説明しておこう。


Photo 01

Photo 02

Photo 03

Photo 04
まず、カール・ツァイスは100年以上の歴史がある光学機器メーカーである。打倒ライカを目指して「コンタックス1型」(photo 01)を1932年に開発。カール・ツァイス氏の死後は「カール・ツァイス財団」となり、さらに第一次世界大戦後にドイツ4大メーカーが集結して「ツァイス・イコン」として復活。そして世界最大のカメラメーカーとなるが、第二次世界大戦後に東西ドイツの分断により、会社が分断され、1971年にツァイス・イコンは消滅する。しかし、日本のヤシカと提携して、ポルシェデザインによる一眼レフカメラ『コンタックスRTS』(photo 02)を発売するのだ。ところが今度はヤシカが経営不振に陥り、京セラに吸収されてしまう。すると今度は京セラが『コンタックスG1』(photo 03)を1994年に発売。そして専用レンズとして『Hologon T* 16mm f8』photo 04)を復活させたのだ。ホロゴンといえば世界最高の超広角レンズである。ギリシャ語の全てを意味するホロスから生まれたネーミング。あのライカですら生産することができず、ライカM用をツァイスに作ってもらっていた伝説のレンズである。こちらは15mmで中古価格100万円はする代物だ。それに比べるとコンタックスGシリーズ用のホロゴンは新品で28万円である。安い! 何という破格の値段。しかもメイド・イン・ジャーマニーである。現在、カール・ツァイスのレンズはほとんど日本製なのである。しかし、ホロゴンだけはドイツ製、これだでもクラッと来てしまうではないか。超広角レンズ好きの私としてはいつかは手に入れたいレンズである。そもそもオリジナルのホロゴンは1966年に…(以下30行削除)

というわけで、ソニー『Cyber-shot DSC-F828』の定価が16万円、安い店では9万9000円で売られていることは、ツァイスのことをよく知っている人には信じられない出来事なのだ。F828に搭載されたバリオゾナーは35mm換算だと28-200mm、F2-2.8になるが、こんなレンズは一眼レフ用としては存在しない。強いて言えば『Vario-Sonnar T* 35-135mm F3.3-4.5』になるが、レンズの定価は24万円である。私はライカのボディとレンズは持っているが、コンタックスもツァイスレンズも持っていないので、サイバーショットに付いているバリオゾナーには興味津々なのである。しかし、その一方ではツァイスと言っても値段によってピンキリなのでは、という想いが心をよぎるのだった。

[ユニークなボディは使いやすいか?]


Photo 05
サイバーショットの高倍率ズームレンズ搭載モデルは円筒形のボディに角度が変えられる液晶モニターが付いたユニークな形をしている(photo 05)。ソニー好きのユーヂ中沢が『Cyber-shot DSC-F505』を購入したのだが、大胆にも光学ファインダーが省かれ、液晶モニターのみ。しかも搭載されたレンズは38-190mmだったので望遠側にすると、どこの何が写っているのかわからずに頭がクラクラしてしまうデジカメだったことを思い出す。もちろん、F828には液晶ビューファインダーがあるので、そんな心配は無用である。ちょっと変わった位置にあるストラップを取り付けて、首から提げてみるとこんな感じだ(photo 06)。特に違和感はない。レンズが重いので下を向いているが、これはレンズを保護することを考えると有利、素早く撮影するには不利である。普通に構えてみると右手がズームリングにかかり、左手でグリップをホールド(photo 07)。これはなかなかいい。実際に使ってみても低速シャッターでもブレにくかった。さらに液晶モニターがあるボディごと回転できるので、ハイアングル(photo 08)とローアングル(photo 09)に対応できる。唯一の問題点は縦位置が非常に使いにくいことだ。デジカメなのだから、電気的な処理で横位置に構えたままで縦位置の写真が撮れるようにして欲しい、とカメラマンの桃井一至氏が言っていた。どこのメーカーでもいいから、それぜひ実現して欲しい!


Photo 06

Photo 07

Photo 08

Photo 09

次に液晶モニターをチェックしてみよう。まずフル表示させるとかなり煩雑である。特に右上がうるさい感じだ。ファイルサイズ、画質、保存先フォルダー、感度などが出ている(photo 10)。次に簡易表示(photo 11)。ずっとすっきりした。シャッター速度、絞り、露出補正、ストロボのオンオフ、マクロモードかどうか、露出測定方式などが表示される。これだけ分かれば十分だ。いままで見たデジカメの中で最も見やすい。花マルである。さらにリアルタイムでヒストグラムを出すことも出来る(photo 12)。これは『DiMAGE A1』より見やすい。実際に操作してみて気になるのは、シャッター速度や露出を変更すると数字がアニメーションで回転しながら出てくること(photo 13)。それ自体は別にいいのだが、表示が出るまでにタイムラグがある。つまりイライライするのだ。この機能はオンオフが選べるようにして欲しいものだ。


Photo 10

Photo 11

Photo 12

Photo 13


[810万画素の実力は]

では、早速、撮影してみよう。とりあえずナイトショット機能を試してみた。赤外線を照射してフラッシュを使わずに暗闇でも撮影できるというDVカメラではおなじみのあれ。完全な暗闇でも使うことができるが、撮れた写真はかなり怖い。瞳孔全開(photo 14)。何の役に立つかは分からないがこれは凄い機能である。次はランチを食べながら28mm、F2.0で撮影。暗いのでISO感度は200にしたのだが、かなりノイズが多くザラザラした感じだ(photo 15)。ちなみにニコン『COOLPIX5000』だとこうなる(photo 16)。どちらもリサイズなしの画像をトリミングしてある。ニコンの方はちょっとピンぼけだがノイズは少ない。なぜならどちらも同じ2/3インチのCCDを使っているからである。ソニーは800万画素、ニコンは500万画素である。面積が同じで画素数が多ければ、それだけ1個の画素は小さくなので、感度が低くなりノイズが出やすいのだ。


Photo 14

Photo 15

Photo 16

現状ではデジカメの場合、CCDの面積が大きいことが何よりも高画質への近道なのだ。つまり、2/3インチ800万画素よりも、CCDの面積が4倍以上あると言われるキャノン『EOS Kiss Digital』の22.7×15.1mmの630万画素の方が、画質では有利なのである。800万画素というのは出力解像度なので、大きくプリントする時には有利だが、それ以外の点では大面積CCDにはかなわない。とにかくサイズも重さも、値段も気にしないから高画質を求めるなら、一眼レフデジカメを買う。これがベストである。間違いない。それは分かっているのだが、私はせっかく小さくなったデジカメから、結局は高校時代に使っていた一眼レフカメラに戻って、何本もレンズを持って旅行したり取材したりするのは絶対に嫌なので、意図的に一眼レフデジカメの購入を控えているのだ。


Photo 17
一体型デジカメだって、専用設計のレンズが作れるとか、CCDにゴミが入らないとか、小型軽量にできるとか、メリットはいろいろあるのだ。それでF828に話を戻すと、ちょっと気になることがあった。窓から室内の観葉植物に光が差し込んでいる。その輪郭が青紫色に見える(photo 17)。ああ、これがウワサのパープルフリンジなのだろうか。絞り開放で逆光ぎみという厳しい条件だから、仕方がないのかもしれないが「ツァイス」なのにと思ってしまう。感度をISO64まで落として光が反射する噴水を絞り開放で撮影すると盛大に発生する(photo 18、19)。回避するには絞り込めばいいのだ。F8まで絞れば発生しなくなる(photo 20)。ということで、逆光とかピカピカとかキラキラする光り物を撮影するときには注意が必要だ。これだけでF828をダメデジカメと言う人もいるが、それは極論、欠点が出ないように使うのが上級者である。100万円するホロゴンだって、開放絞りがF8とメチャクチャ暗く、ピントは固定だし、指は映り込みやすいし、周辺光量が落ちるため使いこなすにはそれなりの腕前が要求される。コンタックスGシリーズ用のホロゴンは、その辺りが改良されて、かなり敷居が低くなっているがやっぱり絞りはF8固定なのである。


Photo 18

Photo 19

Photo 20

次は、感度による画質の違いもチェックした。ISO64(photo 21)、100(photo 22)、200(photo 23)、400(Photo 24)、800(Photo 25)。全て28mm、絞りF2.0で撮影している。さすがにレンズが明るいとISO64でもシャッター速度1/15秒が切れるのでブレてはいない。暗いところも低感度が選べるので高画質で撮れるわけだ。まあ、リサイズしてしまえば800でも結構いけるように見える。これとナイトショット機能を合わせて使えば、F828は暗いところでは無敵のデジカメと言えるだろう。


Photo 21

Photo 22

Photo 23

Photo 24

Photo 25

次回はいよいよ4色カラーフィルター+リアルマトリックス+ツァイスレンズの発色を堪能する。さらに普段は使わないRAWモード、非圧縮のTIFFモードも総動員。最新バージョンの『Photoshop CS』でRAWデータの可能性を探ってみた。

 


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