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母は、もう30年以上も前から目を悪くしていて、右目などは殆ど見えない。いろいろと医者には通ったようだが、結局、悪くなるばかりだった。

医学の力をもってしても「どうにもならない」となれば、頼りたくなるのは、神仏だ。関西では「目に御利益がある」ということで有名な「滝谷不動」に、いつも足を運んでいた。毎月28日なると、よたよたと出かけたものである。

ときどき私も付いて行ったのだが、そんな日は、いつも露店と人でごった返していた。

しかし、そんな様子を目にしていたにもかかわらず、不動明王とか不動尊と呼ばれる「お不動さん」が信仰の対象として、深く庶民に浸透していると感じたのは、就職で上京してからである。

東京で生まれ育った人からは、「何をいまさら!」と笑われるのだろう。しかし大阪で生まれ育った私は、「目黒」や「目白」という名が、お不動さんに由来していることを、まったく知らなかったのだ。(ここでは紹介しないが、東京には「お不動さん」がらみの地名が、けっこうある)

「黒」と「白」があるのなら、当然、他の色もあるんだろうと思って調べてみたら、やはり思ったとおりで、「目赤」「目青」「目黄」と呼ばれるお不動産がいらっしゃった。これらは江戸五色不動といって、天海の具申によって徳川家光が造らせたという。

具体的には、目黒不動(目黒区・滝泉寺)、目白不動(豊島区・金乗院)、目青不動(世田谷区・数学院)、目赤不動(文京区・南谷寺)、目黄不動(台東区・永久寺)の5つである。

何故こんなことを書いたかというと、先日、一眼デジカメの実力をまざまざと見せつけられたからだ。

もともとデジタルカメラは、各社ともに「得意な色」が、それぞれにあるのだが、コンパクトタイプで見る限り、(母譲りで、目が悪いからだろうが…)ボンヤリとしかわからなかった。もともと、いったんプリントすると、どこからどこまでがカメラの差で、どこからどこまでがプリント(焼き方)の違いなのかも、わかりにくい。

ところが一眼デジカメで比べてみると、とにかく「黒」と「白」の出方が大きく違うのだ。逆に、これを基準にして、他の色を見てみると、なんとなくメーカーのカラーにも差があるように見えてきた(←ホントかよ? 笑)。

黒も白も、本来「色」と呼ぶのがふさわしいのかどうかもわからないくらい「変な色」だ。非常に「特殊な色」である。

しかし私が、その2色に気づくことで、初めて“他の色”についても知ることになったのだけは間違いない。そう、「一眼デジカメ」についても、「お不動さん」についても。

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