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別に大した理由もないのに、いきなり何かを「食べたい!」という気持ちになることがある。しかもその「食べたい!」気持ちは、「食べられればいいなぁ」とかいう生半可なものではなく、敢えていうなら、禁断症状に近いのかもしれない。
例えば私にとっては、チキンラーメンなどが、それだ。そしてそれは、私が電車に乗って、ボーッと外を眺めているようなとき、何の前触れもなく突然やってくる。
満員電車の中、「チキンラーメンが食べたい……」とひとりごちる。こうなったら、もうダメだ。「食べたい、食べたい、食べたい、食べたい!」と、いきなり、あたりにコンビニがないかを探し始める。

「おれは子供かよ〜」と、理性モードに戻そうとしても無駄である。カラダの奥底から沸いてくる欲求に抗うことなどできないのだ。

口の中を、チキンラーメンの味が駆けめぐる。耳の奥底では「すぐ美味しい〜、すごく美味しい〜」というメロディーが騒ぎ出す。ふと頭上を見れば、あの縞模様の袋が空にうっすらと浮かび上がってくることさえある。幻覚だ。

コンビニが見つかるやいなや、すぐに飛び込み、チキンラーメンを買う。それを鞄に入れ、急いで編集部へと足をむける。戻るまでの時間が、長く感じる。「湯、湯、湯……」と心の声は大きくなるばかりだ。

そして、やっと湯を注ぎ、食べたときのあの満足感……。夢から覚め、現実世界に戻ってきたような気持ちになる。
もしくは、(ベクトルはまったく逆ですが)便意をもよおした後、我慢に我慢を重ねて、やっと用を足した時に得られるあの解放感のようでもある。

女性は妊娠すると、「すっぱいもの」に代表されるように、ある種のものを急激に欲するという。先の私と同じような感じなのだろうか?

ちなみに、突如として現れる禁断症状は、チキンラーメンだけの話ではない。たこ焼き、ラーメン、餃子、アイスクリーム、ハンバーガーなど、周期こそ違え、忘れたころに心の乱れを引き起こすのだ。

そんななかに、カレーライスというのも含まれている。

話は変わるが、DIME23号(11月18日発売)で「『イチローカレー』を再現する」という企画をやった。大リーガーの記録を塗り替えるヒットを放った彼が、毎朝、弓子夫人のカレーを食べていたことを知ったときに、思いついたものである。

その扉ページで、まっすぐに並んでいる文字を、孤を描くような配列に変えてもらう作業を印刷所にお願いした。文字の配列そのものを、カレーのルーのように見立てたデザインにするためだ。

この作業、結果に比して、とても手間がかかる。しかし大日本印刷の職人さんは、愚編集者のわがままを受け入れ、根気よく文字にカーブをつけ、表現をリアルにしてくれた。
この場を借りて、その情熱にお礼をいいたいと思います。ありがとうございました。

そしてダイム読者のみなさん、その成果を、まずはごらんくださいませ。


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