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●サイズ113.4×78×75.5mm、410g(電池別)
問い合わせ先 キヤノン
TEL 050-555-90002

http://cweb.canon.jp/camera/
powershot/s3is/

[望遠派の気持ちになって考えた]
カメラ好きは、いろんな方法で分類できる。そのなかの一つに広角派か、望遠派か、という分け方がある。俺はもちろん超広角派なのだ。その理由は欲張りだから、じゃなくて風景を撮るのが好きだから。もちろん人物だって広角レンズで撮っちゃうのだが、モデルに見せると望遠レンズで撮った写真の方がいいと必ず言われる。これに対して望遠派は「スポーツ観戦」「鉄道マニア」「航空機ファン」「アイドルの追っかけ」など目的がハッキリした人に愛用されている。つまり、被写体に近寄れない時に使うレンズなのだ。それ以外では背景を全てボカして被写体を引き立てるポートレート撮影などに使われることもある。

今回、取り上げるキヤノン『PowerShot S3 IS』は、そうしたコアな望遠派から、運動会で自分の子供の活躍を激写したい父兄までカバーする懐の深い12倍ズームである。プロ用のデジタル一眼レフにウン十万円もする望遠レンズを付けて野鳥の写真を撮っていた鳥マニアがこう言っていた。
「コンパクトデジカメの12倍ズームは凄い。手ブレ補正機能があるから三脚なしでもブレないし、軽いから振り回しやすい。サブカメラとして買ったけど、いまはこちらがメインになった。一眼レフは重いからほとんど持っていかなくなったね」
つまり時と場合によっては一眼レフよりも、いい写真が撮れるのだ。まあ、一眼レフで400mmまでカバーできるズームだと手持ちはとてもムリで、ガッチリした一脚か三脚が必携となりフットワークは著しく低下する。例えば小型軽量がウリのレンズ専業メーカーのシグマのデジタル一眼レフ専用レンズ『APO 135〜400mm F4.5-5.6 DG』ですら重さ1245gもあるのだ。これにカメラボディを加えれば軽く1.5kgになってしまう。さらに注目したいのが開放絞りである。シグマは400mm側ではF5.6とかなり暗いため、シャッター速度も遅くなり三脚がないとブレてしまう。『PowerShot S3 IS』は432mmで開放絞りはF3.5と一絞り以上明るい。さらに光学手ブレ補正機能付きで3絞り分ぐらいのアドバンテージがあるのだ。あとこれはカタログには書いてないが、画素数が増えるほど手ブレが目立つようになるので、高画素の一眼レフは不利になる。公平を期すために書いておくと、高感度を使ったときのノイズの少なさではCCDの面積が大きい一眼レフに軍配が上がる。あとコンデジだと光学ファインダーがないので、動きの速いものに弱い。まあ、運動会で子供が走るぐらいなら問題ないが。

[ブラックボディでバリアングル液晶]

photo 01

photo 02

photo 03

photo 04

photo 05

photo 06

photo 07

photo 08
それでは早速『PowerShot S3 IS』の外見をチェックしてみよう。以前はシルバーボディもあったが、今回は濃いガンメタリックのみ。この色はカメラを精悍で小さく見せてくれる(Photo 01)。そしてレンズの繰り出し量はこんなに少ない(Photo 02、03)。 これで12倍とはにわかに信じがたいのだ。 液晶は2型で、自由にアングルが変えられるバリアングルタイプを採用。そのままの角度ではちょっ と見にくい場合も、角度を変えれば鮮明に画像が見えてくる(Photo 04、05)。 インターフェイスは一般的なコンデジに比べるとボタンの数が多くて、尻込みしそうだが、一度ボタンの役目を覚えてしまえば使い方は簡単だ。専用ボタンが多い方がいちいち目で見なくてもファインダーをのぞいたまま操作が出来るようになるのだ(Photo 06)。
機能はエキスパートでも不満がないほどテンコモリになっている。例えば、銀塩一眼レフでは切り替えが不可能だった、先幕シンクロと後幕シンクロが本機なら、簡単に切り替えができる(Photo 07)。スローシンクロの時に後幕シンクロを選択すれば自動車のライトの軌跡が自然な感じに撮れるのだ。これに対して通常のストロボ撮影はタイムラグが少なく、被写体がブレにくい先幕シンクロが使われることが多い。よく使うメニューは独立したボタンで呼び出せ、左端にアイコンが表示される(Photo 08)。これは人好きずきだが、素早く機能を呼び出せる点では便利だと思う。

[0cmマクロから超望遠まで]

photo 09 (2.2MB)
ISO80 1/8sec f5.6
レンズに関しては、まずキヤノンの得意技、レンズ面0cmからピントの合う、スーパーマクロ機能に注目したい。これが普通のマクロ撮影(Photo 09)。この花の直径はわずか13mmぐらいである。それをスーパーマクロ機能を使うとここまで接近できる(Photo 10)。一眼レフに55mmのマクロレンズを付けて撮ったのがこちら(Photo 11)。

photo 10 (2.1MB)
ISO80 1sec f8

photo 11 (2.2MB)
D70 ISO200 1/2sec f32

photo 12 (228KB)
ISO400 1/8sec f5.6

photo 13 (268KB)
ISO400 1/8sec f7.1
f32まで絞っているので描写はこちらの方がいいが、どちらが大きく撮れるかで比べれば『PowerShot S3 IS』の勝ちであ る。 さらに明るい所なら手持ちで撮影できるためウチにいるクリスタルレッドシュリンプがエサを食べたり、子供と一緒にいるシーンを素早く記録できた(Photo 12、13)。一眼レフだと必ず三脚が必要なので準備している間にエビは移動してしまうのだ。

次はお散歩。今回はいつもの原宿ではなく銀座なのだ! いわゆる銀ブラだ(死語)。
時間は午後4時である。ISO800の高感度を生かすために感度設定は、高感度オートというモードを選んだ。このモードは手ブレしそうだと、速攻でISO400まで感度が上がるようだ。リディアちゃんとソニービルで待ち合わせて、つらつらと歩き出す。

photo 14 (3.5MB)
ISO400 1/100sec f4

photo 15 (3.1MB)
ISO400 1/80sec f4
432mmなんていう超望遠は普段、使わないのでどう撮るかで悩んでしまう。まずは無難に広角側(Photo 14)と望遠側の画角をチェック(Photo 15)。432mmでシャッター速度1/80secで手持ちで撮れるのが凄いね。さすが光学手ブレ補正だ。しかし、お散歩のポートレートでは、ここまでの超望遠を使う機会はなかなかない。逆に広角側が36mmなので、こっちだけでも守備範囲は広い(Photo 16)。ちょっと寄るにしても俺ならこのぐらいで充分(Photo 17)。超望遠にすれば全ての背景を省略してどこでもアイドルポートレートが撮れるというメリットはあるが(Photo 18)。

photo 16 (3.3MB)
ISO400 1/200sec f4

photo 17 (3.3MB)
ISO400 1/100sec f4

photo 18 (3.1MB)
ISO400 1/100sec f4


photo 19 (2.9MB)
ISO400 1/1600sec f4

photo 20 (3.3MB)
ISO400 1/1000 f4

photo 21 (2.4MB)
ISO200 1/60sec f5.6

photo 22 (1.4MB)
ISO800 1/30sec f5.6
それでは風景はどうだろう。超望遠レンズなら非日常が切り取れるに違いない。普段は見慣れた銀座和光の時計台に大接近(Photo 19、20)。時計の針がリベット止めされていることが分かった。さらに1枚の板が曲げられれていることも分かる。まるで望遠鏡をのぞいているようだ。それなら新宿駅南口にあるNTTドコモビルの時計はどうなっているのだろう(Photo 21、22)。残念ながら割と普通だ。ということでにわかに時計台が気になってきた。超望遠レンズがあれば、今日から時計台評論家になれそうな気がしてきた。こうして、いままで普通に見えていたものが432mmの力で興味深い被写体に変わっていくのである。これが超望遠の力だ。


photo 23 (2.2MB)
ISO80 1/125sec f2.7

photo 24 (2.3MB)
ISO100 1/200sec f2.7

photo 25 (2.6MB)
ISO200 1/320sec f2.7

photo 26 (3.0MB)
ISO400 1/640sec f2.7

photo 27 (3.7MB)
ISO800 1/1250sec f2.7
 
最後に手動で感度を切り替えて、その違いを見ていこう。まずISO80からスタートしよう(Photo 23)。ちょっと後ピンだがさすがにきれいだ。ISO100でも、ほとんど変化はない(Photo 24)。ISO200で暗部のノイズが増えてきた(Photo 25)。ISO400では解像度に変化はないが、暗部のノイズはかなり増えている(Photo 26)。そして最高感度のISO800(Photo 27)では画質の劣化がはななだしく緊急時には使うが普段は使いたくないレベルだと思うのだが、みなさんはいかがだろう。

『PowerShot S3 IS』は、お散歩デジカメとしては大柄なボディなため、携帯性には問題があるが、海外旅行や運動会、発表会、コンサートなど、ここ一発の重要なイベントで頼りになる一台だ。その機能、性能、ズーム比から考えれば、価格的にもお買い得なデジカメである。スリムなカードサイズという呪縛から解き放たれた時、そうだ『PowerShot S3 IS』を買おうと思うだろう。コンパクトデジカメを2台持つなら、常時携帯のカードサイズに、いざというとき役に立つ12倍ズームという組み合わせがお勧めだ。